初めて巻紙で手紙を書くことになったけれど、具体的なルール・書き方がわからないというひとはいませんか?
SNSでのやり取りが主流になった現代。
巻紙の使い方だけでなく、それぞれの場面に合った手紙の書き方や内容自体を、あまり知らないひとが多いかもしれません。
この記事では送辞や祝辞、弔辞といった式辞。茶道のお誘いや、厚意に対するお礼状の書き方を解説するとともに、手紙におすすめの巻紙をご紹介します。
この記事を読めば、巻紙を使った手紙の書き方や内容がわかり、イメージしながら書きやすくなります。
ぜひ最後までご覧ください。
巻紙の手紙の書き方
最初に巻紙とは、半切紙という縦長の紙を、横に長く継ぎあわせた紙を指します。
巻物のような状態で販売されていて、現代では改まった場での手紙を書くときに使用されています。
書き終えたら、本体から紙を切り離して使ったり、書き間違えたときは切ってから、紙を継ぎ足して修正します。
他の手紙用の紙と比べると、使い勝手がかなり異なるのが特徴です。
実際に使うときは横長の状態で、ツルツルとした手触りの表側に文字を書きましょう。
巻紙に書くとき、共通した以下のルールがあります。
・毛筆、筆ペンなどの ”筆” で書く
・縦書きで、1行15文字前後で書く
・句読点(、/。)を使わない
・文の上部分ををそろえる
・紙の上下左右に余白をもうける
(上下:1.5~3.0cm、左右:8.0~10.0cm)
巻紙を開きながら読みあげる場合、開きやすいように文の最後から頭の方向へ、巻き折りにします。
どんなシチュエーションでも共通して、普通の手紙と同じように『頭語 → 前文 → 本文 → 末文 → 後付』の構成で書いていきます。
頭語 | ・「拝啓」「謹啓」など、手紙のはじめに書く言葉です。 ・「前略」「冠省」などは目上の人に送る場合避けましょう。 |
前文 | ・時候の挨拶や相手、自分の近況(安否)を伝える文です。 ・「前略」「冠省」などの頭語を使うときは省きます。 |
本文 | ・「主文」ともいい、手紙を送った本題を伝える文です。 ・シチュエーションごとに内容が大きく異なってきます。 |
末文 | ・手紙を締めくくる言葉を書きます。 ・文の最後に、頭語に対応した結語を書きましょう。 |
後付 | 年月日・氏名、場合によっては宛名を記入します。 |
参考:日本郵便 ホームページ「手紙の基礎知識 手紙の基本形式」より
https://www.post.japanpost.jp/navi/mame_knowledge.html
手紙に書く頭語と結語は、式辞では省くケースが多いようです。
また書いた内容を読みあげる場合は、長くならないように、ゆっくり読んで3〜5分におさまる文量にしましょう。
個人差はありますが、人が1分間で話せる文字数は約300文字とされています。1分間に300文字として、1,000〜1,500文字の量が目安です。
ここからはシチュエーションごとの書く内容やポイントを解説していきます。
内容が大きく変わる箇所は、構成ごとで表に記載していますので、ぜひ確認してみてくださいね。
茶道
茶道のお茶会に参加したあと、巻紙を使って亭主・主催者へお礼状を書くことを流儀とするところがあるようです。
明確な書き方のルールは定められていないようですが、流れは一般的な手紙と同じです。
お茶会で体験した出来事や具体的な感想を、感謝の気持ちを込めて主催者へ伝えましょう。
頭語 | 「前略」「冠省」など、時候の挨拶を省くものは使わない |
前文 | ・その時の季節が感じられる時候の挨拶 ・相手に対する近況(安否) |
本文 | ・お誘いへのお礼と感謝 ・具体的なお茶会での感想 |
末文 | 相手の体を労わる表現 |
送辞
送辞は、卒園 / 卒業式で在校生が、卒業生に向けて贈る言葉です。
卒園式の場合、園児にも伝わり話しやすいように、シンプルでわかりやすい言葉にするとより良くなるでしょう。
また前文の前に、「送辞」と表題を記載します。
前文 | 卒業生へのお祝いの言葉 |
主文 | ・卒園 / 卒業生全員に共通する学校での思い出や在校生とのふれあい ・聞き手が共感し、思い出を振り返ることができる内容 |
末文 | 卒業生への感謝・激励の言葉 |
後付 | 氏名の前に「在校生代表」「〇〇学校」などの所属を記載 |
祝辞
祝辞は、お祝いの席で相手を祝福する言葉です。
主に卒園 / 卒業式や、入園 / 入学式などの学校行事。結婚式で祝辞を述べます。
また前文の前に「祝辞」と表題を記載します。
それぞれのシチュエーションごとに、内容を見ていきましょう。
卒園 / 卒業式の祝辞
卒園 / 卒業式では、卒業生への祝福・応援の気持ちを本文に書きます。
卒園式の場合入園式同様、園児にも伝わり話しやすいように、シンプルでわかりやすい言葉を使いましょう。
前文 | ・卒業生やその保護者へのお祝いの言葉 ・書き手の自己紹介 |
本文 | 卒業生への激励・伝えたいこと |
末文 | ・前文で書いていない場合は保護者 ・学校の先生への感謝を添える |
後付 | 氏名の前に「〇〇会長」といった自分の所属を記載 |
入園 / 入学式の祝辞
入園 / 入学式では、卒業の場合と同じく相手への祝福と、歓迎の気持ちを書きます。
入園 / 入学生へのサポートを、教師や在校生に求める文も加えます。
前文 | ・入学生やその保護者へのお祝いの言葉 ・書き手の自己紹介 |
本文 | ・卒業生への歓迎の言葉 ・教師、来賓への挨拶 ・教師への教導のお願い ・在校生が出席する場合、在校生へのお願い |
末文 | 卒業生への激励の言葉 |
後付 | 氏名の前に「〇〇会長」といった自分の所属を記載 |
結婚式の祝辞
結婚式では、新郎新婦への祝福の言葉や、彼らとのエピソードを綴ります。
書く際、不幸や別れを連想させる「忌み言葉」「重ね言葉」などの、縁起が悪い表現は必ず避けるように注意しましょう。
前文 | ・新郎新婦や、両家の親族へお祝いの言葉 ・挨拶と自己紹介 |
本文 | 新郎新婦との思い出やエピソード |
末文 | 新郎新婦への励ましや祝福の言葉 |
お礼状
お礼状は、お世話になった人へ感謝の気持ちを伝える言葉です。
お祝い品やお歳暮などの贈り物をもらったり、助けてもらった際に贈ります。
プライベートだけでなく、ビジネスでも活用できるものです。
特定の行事やイベントに限らず、幅広いシチュエーションがあります。
前文 | ・その時の季節が感じられる時候の挨拶 ・相手に対する近況(安否) |
本文 | お礼する内容への感想・感謝 |
末文 | 相手の体を労わる表現 |
弔辞
弔辞は、故人を弔うためのお別れの言葉です。
一般的な黒い墨ではなく、薄墨で書くのがマナーです。
また前文の前に「弔辞」と表題を記載してください。
他にも以下のように、注意点が多くあるため気を付けましょう。
・「忌み言葉」「重ね言葉」を使わない
・「生きる」「死ぬ」などの直接的な表現をしない
・宗派による禁句を避ける
前文 | 追悼の言葉 |
本文 | ・訃報を知った心境 ・故人との思い出 ・現在の心境や想い |
末文 | ・故人へのお別れの言葉 ・親族へのお悔やみの言葉 |
巻紙の素材のおすすめが和紙である理由
和紙でつくられている巻紙は、相手へ贈ったり、フォーマルなイベントや行事の手紙に最適です。
和紙は丈夫なので紙としての寿命が長く、紙の劣化を防ぎ、手紙の内容を長期間残すことができます。
また和紙の表面はなめらかなので、筆を使う際滑りがよく、毛筆や筆ペンとの相性抜群です。
特に結婚式やお葬式などの厳粛な場では、上質な紙での式辞の執筆が必須となります。
時代が変わっても、いざという時のために巻紙を準備しておくと、すぐ対応することができるでしょう。
上質な巻紙を使って手紙を書きたいひとには、「出雲巻紙」がおすすめです。
種類は以下の3種類あり、ご自身が使いたいシチュエーションに合わせて選ぶことができます。
・日本一和紙作りで多く使われている原材料の「楮(こうぞ)」
出雲巻紙(楮・白)
・独特の光沢と触り心地が特徴で、無地、ピンク、青の3色がそろう「三椏(みつまた)」
出雲巻紙(三椏・無地)
出雲巻紙(三椏・ピンク)
出雲巻紙(三椏・青)
・三椏製で、雲形の模様と華やかな色付きの「出雲雲紙(いづもくもがみ)」
出雲雲紙巻紙(三椏)
またこの巻紙は、昭和8年から「出雲民藝紙」という和紙を製造している『出雲民藝紙工房』の商品です。
この巻紙に書くことで、上質な手紙を相手に贈ることができるでしょう。
参考:「出雲民藝紙工房」ホームページより https://izumomingeishi.com/
巻紙の手紙の書き方まとめ
この記事では巻紙の使い方やシチュエーションごとの手紙の書き方。そしておすすめの巻紙「出雲巻紙」を解説・ご紹介しました。
・巻紙は「間違えたら切って継ぎ貼りをする」「書き終えたら切り離す」といった、普段と変わった使い方をする和紙
・書き方の構成は普通の手紙と共通するが、シチュエーションごとに内容が異なる
・上質な紙で書きたい場合、『出雲民藝紙工房』でつくられた「出雲巻紙」がおすすめ
この記事を参考にして巻紙を使い、相手の気持ちに寄り添う手紙を書いてみてください。
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