目次
活版印刷とは
印刷は大きく4つの種類に大別され、版の種類によって凸版、平版、凹版、孔版に分類されます。
活版印刷は、このうちの凸版印刷のひとつになります。
活字を組み合わせて作った版(活版)で印刷すること、もしくはその印刷物を指して活版印刷と呼ばれます。
原理自体はとてもシンプルで、印刷される部分がそれ以外の所より一段高くなっており、その部分にインクを付け、紙をのせ、上から圧力をかけて紙にインクを転写することで印刷されます。
文字の一つ一つが別々の活字でできており、文字を差し換えたり、印刷が終わった後にバラバラにもどし、新たに別の版を組むことができます。
活字は、木や金属に字形を刻み、それにインクをつけて何度も印刷できるようにしたもので、鉛版・線画凸版・樹脂版などの印刷も含めて、活版印刷と表現します。
活版印刷は、活字や版の保存に広いスペースがいること、鉛を主体とする為に、環境衛生上に良くないこと、熟練工が減ってきていることから、だんだん利用が減ってきています。
しかし名刺や和紙などへの印刷する場合、活字の写りのキレが良いことや紙の風合いを損なわないなどの長所があるため、根強いファンが多いのも事実です。
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活版印刷の歴史と現在
活版印刷の開祖はドイツのグーデンベルクといわれています。
その技術はルネサンスの三大発明(火薬・羅針盤・活版印刷)ともいわれるほど、社会に大きな影響を与えました。
かつては、社会のごく一部の階層にしか書物は読まれることはありませんでしたが、グーテンベルクの発明以降、次第に書物は普及し、今日では、誰でも読むことができるようになりました。
活版の技術は、以降改良を加えられながらも、5世紀にわたって印刷の中心に居つづけました。
70年代あたりから写真植字(しゃしんしょくじ)、いわゆる写植(しゃしょく)を使ったオフセット印刷が台頭し、設備が大変で取り扱いの面倒な活版印刷は、文字印刷の主役から降りることになります。
DTPの普及により、キーボードをたたくだけで文字製版ができるデジタル製版が可能になった昨今、活版印刷は残念ながらごく限られたものにしか見られな くなってしまいました。
当店も名刺といったいわゆる「端物(はもの)」と呼ばれる軽印刷を扱っており、本を一冊分、というような会社はほとんど無くなりました。
時代の流れと共に、活版印刷が衰退の一途をたどっていることは否定できません。
しかしながら、活版印刷によって生まれる製品には、DTPではとても表現できない味わいや温もりが確かに存在し、職人達の手によって生まれる活版特有の風情と品格は、他に類を見ない、とても素晴らしい印刷技術です。
そんな活字の文化をひとりでも多くの人に知っていただき、手にとっていただければと思っております。
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活版印刷の工程
活版印刷は、その昔はポピュラーな印刷方法でありましたが、最近では、オフセット印刷の台頭により、衰退傾向にあります。
今では、名刺やはがきの印刷など、限られた品目の印刷でしか扱われておりません。
しかし、オフセット印刷では真似のできない、深い味わいのある印刷方法が、この活版印刷です。
活版印刷の工程は、大きく4つのパートに分けられます。
1.文選(ぶんせん)
2.組版(くみはん)
3.印刷
4.解版(かいはん)
1.文選(ぶんせん)
原稿を基に、文選(ぶんせん)という作業を行います。
活字を活字棚から拾いながら、植字作業(しょくじさぎょう)をするのはとても効率が悪くなります。
そのため、原稿中の文字のみを、文選箱(ぶんせんばこ)という小箱に、あらかじめ拾っておくという作業を行います。
文選後(ぶんせんご)の活字です。
これらを組み合わせて「版下(はんした)」を作成します。
その作業を「組版(くみはん)」と呼びます。
組版(くみはん)の工程上、逆地に拾っています。
特殊なロゴや書体などは、樹脂版(じゅしばん)を作成する事で版下(はんした)を作成します。
当店では楷書体(かいしょたい)とゴシック体が中心の為、毛筆体(もうひつたい)などの書体や、規格外の大きさの文字は樹脂版を作成します。
2.組版(くみはん)
文選した活字を原稿を基に組立てます。
インテルや込物(こめもの)を入れながら、ステッキという専用の道具の上に組んでいきます。
インテルとは、活字を改行するのに使う板、込物(こめもの)はスペースなどを開けるのに使う鉛の板です。
レイアウトやバランスなどは、ここで調整していきます。
組み上がった版を印刷機に取り付けられるように、金属の枠の中に組み付けます。
この金属の枠のことを「チェース」といいます。
3.印刷
版を組こんだチェースを印刷機に取付け、見当(印刷位置)と印圧(凹凸が出ないように)、インクの濃度を調整します。
調整が終わったら校正を経て、本刷り(ほんずり)に入ります。
活版印刷の仕組みはいたってシンプルで、ローラーのインクを版下に載せ、それを紙に転写する方式です。
当店では、紙送りが自動のものと、手動のものの2台の活版機を使っており、印刷物に応じて使い分けをしています。
4.解版(かいはん)
校正、調整が全て終了したら完成です。
印刷が終わったら、ローラーの清掃と版の清掃をして終了です。
印刷機からチェースを外し、版を油で洗います。
洗浄後、版を分解し、活字や込物(こめもの)、インテルなどを所定の場所に戻します。
この作業を「解版(かいはん)」といいます。
活版印刷は100枚~10,000枚前後の、小部数で精度の高い印刷物に向いている印刷方式です。
このような流れで、活版印刷物が生まれます。
当店、和心工房の名刺は、和紙にこの活版印刷を施すため、非常に格調高い名刺に仕上がります。
また、名刺だけではなく、はがきや封筒への印刷も可能です。
名刺以外への印刷をご要望の方は、こちらよりご一報いただけると幸いです。
箔押しについて
箔押しとは、金属製の凸版を使って、熱と圧力をかけて色箔を、圧着させる加工の事です。
別名、「ホットスタンプ」とも呼ばれます。
ピカピカした金色や銀色など、印刷ではなかなか出しにくい色を演出できるので、大変重宝されている技術です。
また、凹部ができるので、仕上がりに奥行き感ができます。
和紙に活版印刷というだけで、それだけで充分に品格のある名刺に仕上がりますが、さらに高級感のある名刺をつくりたい!、という方にオススメです。
和心工房の名刺では、お希望のデザインで箔押しをご入稿いただけますよ。
箔押しの色は、金・銀・赤・青・緑・ピンク・水色・レインボー・黒・朱の10色をご用意しております。
色もご自由に選んでいただけます!
「和紙×活版×箔押し」でこの上なく格調高い名刺をおつくりいたします。
プレスから押しについて
空押しとは、文字や絵柄の版を紙などの材料に強くプレスして、文字や絵柄の形にへこます加工方法です。
箔などを挟まずに片側の版のみ(裏面は平らな状態)でプレスします。
そのため表側には凹みができますが、裏から見ると紙は平らなままです。
箔押しではアピールが強すぎるときなどに効果的で、一見目立ちませんが、落ち着いた感じに仕上がります。
和紙との相性は抜群で、ちょっとしたアクセントを名刺にもたせたい方にはオススメです!